「必要ならばやる」という文は一見前向きな文に感じるかもしれませんが、実質的には意味のない文です。
「必要ならばやる」という文の構造を論理的に解析すると、「必要」「ならば」「やる」という3つのパーツに分解できます。また省略されている部分を補えばこうなるでしょう。「必要ならばやる、必要でないならばやらない」。
プログラム的に書けばこのようになります。
if (必要) { やる; } else { やらない; } もし (必要) ならば { やる; } そうでないならば { やらない; } 「必要」という言葉を使用してあえて「必要なのにやらない」という選択肢を選ぶことは、常識的にまず無いでしょう。つまり当たり前のことをそれっぽくいっているだけ、ということになります。
大切なのは「必要かどうか」の判断です。しかし判断済みであれば、あえて「必要ならば」などといわなくてもいいので、「必要ならばやる」という言葉は、実質的には「必要か不要かをまだ判断していません」といった程度の意味になります。つまりこの言葉を使用する人は、判断能力が足りないか判断する責任から逃れようとしているのでしょう。信用を失わないためにも、積極的に使う事は避けましょう。
また似たようなフレーズで、「無駄を省く」があります。これも同じで「何が無駄か」の判断がきわめて重要になります。例えば「無駄な道路は造りません。計画をすべて見直します」といって後で「計画に無駄な道路は一切ありませんでした。9342km全部造ります」では、だまされたと感じる人がいてもおかしくないでしょう。 また、「必要」という言葉も注意が必要です。「必要」という言葉は本来、「必ず要るもの」を意味する言葉です。「あったほうがいいけどなくても何とかなる」といったレベルのものは通常は「必要」とは言いません。
しかし本来の言葉の意味の「必要」では無いにもかかわらず、「なんとなくあったほうがいい」というレベルでも「必要」という言葉を当ててしまう非論理的な人も少なからずいます。気をつけましょう。
2011/11/16
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