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「犬や猫を飼ってはいけません」の意味

とても基本的に思える日本語の意味です。
「犬や猫を飼ってはいけません」の「や」という助詞はどのような意味を持つのでしょうか?

まず「犬や猫を飼ってはいけません」という文言は
「犬と猫を同時に飼ってはいけません」という意味ではありません。
「犬か猫のどちらか一方を飼ってはいけません」という意味でもありません。


きちんとした文言に変換すると
「犬と猫をはじめとする、いくつかの動物を飼ってはいけません」もしくは「犬・猫に類する動物を飼ってはいけません」という意味になります。「犬」「猫」はあくまでも例に過ぎず、それに似たものも暗に含めているのです。

例えば「キツネ・タヌキ・アライグマ・豚・馬・ライオン」あたりはダメでしょう。しかし、昆虫・金魚・ミドリガメならOKでしょうし、小鳥・ハムスターくらいならOKかもしれません。(地域・マンション・家庭の事情などにより異なると思いますが…)


「私は犬や猫を飼えません」を英訳すると「I can't keep things like a dog and a cat.」になります(そうだと思います)。英語では「things like」と「…のようなもの」とあいまいであることを意味する句が明示的に付加されます。


重要なことは日本語で「や」という助詞を使ってしまうと、具体的に文字に表されているのは「犬」「猫」だけであるにもかかわらず、また他の動物のことなど全く触れていないにもかかわらず、他の動物も含む意味になるという点です。

あいまいにすることを好む日本人特有の表現であると思われます。


「や」という言葉を使うことによって、指し示す範囲が不明確であいまいな表現になってしまいます。特に対象範囲が明確であるにもかかわらずあえて「や」を使うと、不要な混乱を招く可能性があります。例えば「私の会社には男や女がいる」といわれた場合に、「男でも女でもない人もいるということなのか?そういう人の集まりなのか?でも聞くに聞けない…」と不要な混乱を招きかねません。

対象を明確にしたほうがいい場合もしくは対象範囲がはじめから明確である場合には使わないよう気をつけましょう。



2011/09/01