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PCメガネのよくある誤解


巷で話題のPCメガネ。しかし間違った認識を持っている人が少なからずいるようです。このページでは、PCメガネやブルーライトに関する誤解の代表的な例をあつめました。

※PCメガネに関する情報は、「ブルーライト」の正体とPCメガネの効果(まとめ)もしくは「ブルーライト」の正体とPCメガネの効果もご参考になさってください。また、このページは未完成です。ネタを見つけ次第追加したり、編集・削除・連番の振りなおしをすることがあると思います。転載・引用の際にはその点をご了承ください。

誤解1:LEDをバックライトに使った液晶ディスプレイ(以下LED液晶ディスプレイ)からは特別に多くのブルーライトがでている

これが最も多い誤解のようです。LED液晶ディスプレイはCRTディスプレイよりも明るくすることができるというだけです。明るい光には暗い光よりも、赤・緑・青それぞれの光を多く含みます。CRTディスプレイの明るさで問題なかった人は、CRTディスプレイと同程度の明るさに調節すべきでしょう。CRTディスプレイと同程度の明るさに設定すれば、ブルーライトもCRTディスプレイと同程度の量になります。

誤解2:LED液晶ディスプレイは明るさを最大にして使用すべき

明るさを最大にすると、まぶしさや目の疲れなどを感じる場合がほとんどです。また、購入時の初期設定で明るめの状態で出荷されることもあります。ディスプレイの設定変更は比較的簡単です。使用環境にあった明るさに設定して使用しましょう。

誤解3:LED液晶ディスプレイの設定を変更してもブルーライトは防げない
そんなわけはありません。青を減らす設定もしくは全体的な明るさを減らす設定を行えば、ブルーライトは減ります。

誤解4:LED液晶ディスプレイはどんなものでも必ず青白く、設定変更しても変わらない

LED液晶ディスプレイは初期設定で9300Kと高い色温度に設定されていることがあります。そのイメージからなのかもしれません。そのような場合でかつ自分の好きな色味で使用したい場合には、初期設定のまま放置するのではなく、自分で設定を変更すべきでしょう。もしも色温度を6500Kや5000Kにしてもまだ青白いという場合には、ディスプレイ自体が故障している可能性があります。メーカーに修理に出す事を検討しましょう。

誤解5:LED液晶ディスプレイは、輝度を0にしさらに赤緑青を最低にし真っ黒の状態にしても、ブルーライトがたくさん出ている

はい、そんなわけはありません。バックライトがわずかにもれる事はあります。また、バックライトを完全に遮断することもほとんどの場合で出来ないでしょう。しかし「光がもれている」からといって、「ブルーライトがたくさん出ている」わけではありません。

誤解6:LED液晶ディスプレイの設定を変更しブルーライトをカットすると見え方がおかしくなる
誤解7:PCメガネなら見え方をほぼ変えずに、多くのブルーライトをカットできる

LED液晶ディスプレイの変更でもPCメガネでも同じで、カットした分だけ見え方変わります。見え方を変えずにブルーライトだけをカットすることは物理的に不可能です。PCメガネのカット率と同じだけのカットをする変更をしたのなら、PCメガネををかけたときと同じだけ見え方に変化があります。また見た目がほとんど変わらないのなら、ブルーライトもほとんどカットできていないということです。

誤解8:LED液晶ディスプレイの設定変更でブルーライトをカットするには、輝度を落として色温度を5000Kにするしかない

ディスプレイのメーカーのナナオが「(ディスプレイの設定を)適切な輝度(約120cd/m2)および色温度を5000Kに調節すると、ブルーライトが約1/6に減少する」という実験結果を提示しました。この実験結果を「ブルーライトをカットするには5000Kにするしかない」などと解釈してしまう人がいるようです。
大多数の人にはいちいち説明する必要はないと思うのですが、PCメガネのカット率と同程度でいいのなら、輝度を下げるだけもしくは色温度を7200Kや6500Kにするだけで十分です。ディスプレイの設定変更は自分の好きな設定にすることができます。5000Kにするしか選択肢はないなどということはありえません。好きな設定に変更しましょう。


誤解9:ブルーライトを調節できるのはナナオ製のディスプレイだけ

一般的な商品ならどんなディスプレイでも何らかの調節機能が備わっています。もしかしたらこの世には一切調節ができないものが存在するかもしれませんが、少なくとも私は見たことがありません。スマホでは明るさの調節しかできないものがありますが、明るさの調節をするだけでもブルーライトを大幅にカットすることができます。

誤解10:ナナオのディスプレイは設定変更をしなければ危険だ

なぜそういう思考におちいるのかよくわかりませんが、そのように思い込んでしまう人もいるようです。ナナオの新製品の機能は、ブルーライトが気になる人のために、簡単な操作でブルーライトをカットできる機能も用意しましたよ、というだけの話です。

誤解11:PCメガネには紫外線をカットする特殊な加工がしてある

プラスチックはもともと紫外線通過率が低いため、特殊な加工などせずとも紫外線や紫外線に近い領域をカットします。100円ショップで売っているファッション用伊達メガネでも、ほぼ100%紫外線をカットします。

図2を見るとわかりますが、「一般的な透明レンズ」でも、ブルーライトとされている領域の390nm以下でも100%カットしており、400nm以下でも80%以上カットできていることがわかります。プラスチックのレンズであれば紫外線に近いブルーライトは多くの割合をカットします。

誤解12:市販のPCメガネはブルーライトを50%カットする

正しくは「ブルーライト」と呼んでいる領域全体のカット率の平均が50%なのです。下の図はどちらも某PCメガネの販売サイトで使用されていた画像にメモを付け足したものです。図1の情報ではデジタル機器から発せられているブルーライトは、多くが450-460nmあたりであることがわかります。380-420nmあたりの紫外線に近い領域ではほとんど発せられていません

一方、図2のPCメガネでカットしている「ブルーライト」の領域を見てみると、380-420nmあたりはたくさんカットできています。これはすでに述べましたがプラスチックの特性であり「一般的な透明レンズ」でも大部分をカットしていることがわかります。450-460nmあたりは「50%カット」のレンズで20%程度、「30%カット」のレンズで10%程度のカット率であることがわかります。

つまり、LEDディスプレイから出るはずもない波長の光をたくさんカットしている領域を含めた平均で、50%カットなのです。それをもって「ブルーライトを50%カット」といううたい文句は嘘だとはいいません。見ればわかる人もいることですし(しかし、私には事実誤認を狙った不誠実な説明に感じます)。とにかく、本来カットすべき部分(450-460nmあたり)のカット率はPCメガネ販売業者のうたい文句とは異なるということは理解しておいたほうがいいと思います。





誤解13:厚生労働省のガイドラインでブルーライトが健康に悪いといっている 

厚生労働省のガイドラインとは、いわゆるVDT作業(今でいうパソコン作業)に関するもので、このガイドラインが最初に作られたのは昭和59年(1984年)です。長時間のVDT作業で発生する健康被害に対しての話であり、LED液晶ディスプレイとはまったく無関係です。当然、ブルーライト云々と言う話はガイドラインには一切出てきません。

誤解14:ブルーライトはただの可視光線だ

厳密には異なります。PCメガネ販売業者はなぜか、380-400nmの紫外線領域も含めて「ブルーライト」と呼んでいます。紫外線領域なので可視光線ではなく目には見えず、また有害です。その意味でPC業者の定義する「ブルーライト」は危険だといえます。

しかしこの380-400nmの明らかに危険な領域の光は、LED液晶ディスプレイからは出ることはありません。

誤解15:ブルーライトは危険だ

誤解14で書いたとおり、PCメガネ販売業者の定義するブルーライトは、紫外線を含みます。紫外線は有害です。なのでPCメガネ販売業者の定義するブルーライトは有害というのは間違っているとはいえないでしょう。

ただ、本質的に重要なのはPCメガネ販売業者の定義するブルーライトの範囲全体ではなく、LED液晶ディスプレイから出るブルーライト(450-460nm)が有害かどうかでしょう。LED液晶ディスプレイから出るブルーライト(450-460nm)に関することで、人体に影響を与える可能性を指摘されているデータは今のところ何もないようです。ブルーライトという言葉でくくって、明らかに性質の異なる領域の光をいっしょくたにしてしまうのではなく、きちんと波長を考慮し区別して考えた方がいいでしょう。

また、肩こりや腰痛の原因になっているとする業者もありますが、これは長時間のPC作業の際に発生する健康被害であり、LED液晶ディスプレイが登場する前から言われていたことです。常識的には、ブルーライトとは関係ないでしょう。

誤解16:LED液晶ディスプレイは人工光なので自然光より危険だ

LED液晶ディスプレイからは紫外線はまったく出ません。自然光にはたくさんの紫外線を含みます。また自然光のブルーライトはLED液晶ディスプレイのブルーライトよりはるかに多く含みます。自然光は安全なのにLED液晶ディスプレイだけが危険とする説は、常識的にまったくありえない作り話です

誤解17:ブルーライトは可視光線の中で、最もエネルギーが高く、眼の角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達する

知識のない人がこれを読むと「可視光の中でブルーライトだけが網膜に届く」「エネルギーが高いから網膜まで届いてしまう」「網膜まで届くのは害である」等と思い込んでしまう人がいるかもしれません。これは大きな誤りです。

「可視光線の中で、最もエネルギーが高く」これは正しいです。
 「眼の角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達する」これも正しいです。
しかし、この2つは関係のないことです。光が網膜に届くかどうかと、エネルギーの強弱はまったくの無関係です。無関係な事実を並べ、さも関係があるかのように装い、知識がない人に対し事実誤認を狙っているのではないかと疑いたくなる記述です。
網膜に届くのはブルーライトだけではありません緑色の光でも赤い光でも網膜に届きます青でも赤でも緑でも可視光が網膜に届くのはごく当たり前のことで、網膜に届かない光は視認することができません。目に見えるということは網膜に届いていることです。むしろブルーライトが網膜に届かない場合は何かの病気でしょう。ブルーライトが網膜に届くのは害でも何でもありません。

2012/11/24